AIに長い資料を渡したら、後半の話が答えに出てきません|全部を渡す前に、どこを読んでほしいかを書く

企業でのAI活用

「60ページ全部渡したのに、肝心の第5章のことが1行も出てきませんでした」

(この記事に出てくる文面や場面は、説明のための例です)

部署で毎年出している報告書。60ページあります。来期の計画を立てる前に、課題を整理しておきたい。ファイルをAIに渡して「この報告書から課題を整理してください」と頼むと、きれいな箇条書きが返ってきます。

読んでみると、どれも前半の章に書いてある話です。いちばん気になっていたのは、後半の第5章にある取引先別の数字でした。そこには一言も触れていない。

もう一度「第5章も含めて」と頼むと、今度は第5章の話が出てきます。ただ、最初からそう頼めばよかったのか、それとも何度か頼み直さないと出てこないものなのか、よく分からないまま終わります。

どこが大事かを、AIに決めさせている

長い資料を丸ごと渡して「整理して」と頼むと、どこを大事と見るかはAIが決めることになります。

AIは、資料の中で分量が多いところや、見出しで強調されているところを拾いやすいことがあります。前半に総論があり、後半に細かい数字がある資料だと、答えが総論寄りになることもあります。

一方で、こちらが知りたかったのは「第5章の数字から見える課題」でした。そのことは、資料のどこにも書いてありません。頼んだ人の頭の中にしかないのです。

資料に書いてあること … 60ページ分の中身
資料に書いていないこと … このうち、どこを、何のために読んでほしいか

後者を書かずに渡すと、AIはそれを推し量るしかありません。

渡すときに、3行足す

渡すときに、3行足す

やることは、資料を渡すときの頼み方に、次の3つを書き足すことです。

書くこと 例
どこを読んでほしいか 第5章(取引先別の売上)を中心に。第1〜2章は背景として読む程度でよい
何のために読むか 来期、どの取引先に手をかけるかを決めるため
何を返してほしいか 前年より下がった取引先と、その理由として書かれていることを、表にしてください

頼む文にすると、たとえばこうなります。

添付の報告書のうち、第5章(取引先別の売上)を中心に読んでください。
第1〜2章は背景として読む程度でかまいません。
来期、どの取引先に手をかけるかを決めるために使います。
前年より売上が下がった取引先を挙げ、
報告書に書かれている理由を、取引先ごとに表にしてください。
理由が書かれていない取引先は「記載なし」としてください。

最後の1行も大事です。書かれていないことをAIが補って書いてしまうことがあるので、無いときは「無い」と返してもらうように頼んでおきます。

章の番号が分からないときは、先に目次を出してもらう

章の番号が分からないときは、先に目次を出してもらう

初めて読む資料だと、どの章を読んでほしいのか、こちらも分からないことがあります。そのときは、いきなり整理を頼まずに、2回に分けて頼むと進めやすくなります。

1回目:この資料の章立てと、各章に何が書いてあるかを1行ずつ出してください
2回目:(目次を見てから)第○章を中心に、△△のために読んでください

1回目の答えを見ると、「この資料には自分の知りたいことが、そもそも書いていない」と分かることもあります。そうなら、別の資料を探しに行けます。60ページ分の整理を読んでから気づくより、早く分かります。

要約を頼むときと、同じ形

先日の記事「AIの要約が、いちばん大事なところを落としていました」では、要約を頼むときに「読んだあと何を決めるか」を書く話をしました。今回も同じ形です。

何を決めるために読むのか  … 頼む人しか知らない
どこに書いてありそうか    … 頼む人のほうが見当をつけやすい

資料が長くなるほど、この2つを書かないときの外れ方が大きくなります。短いメール1通なら外れても読み直せますが、60ページの資料だと、答えが外れていることに気づくのにも時間がかかります。

今日、1つだけやる

次に長い資料をAIに渡すとき、頼む文の最初に 「第○章を中心に、△△を決めるために読んでください」 と1行書いてください。

章が分からなければ、先に「章立てと、各章に何が書いてあるかを1行ずつ」と頼むところから始めます。


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