月曜日の定例です。議題の3つ目に、見覚えのある項目があります。
「問い合わせの一次対応を、来月から当番制にする件」
先週、同じ会議で決めたはずの話です。
誰かが言います。「これ、先週決まりましたよね」
別の誰かが返します。「そうなんですが、繁忙期に当番が回ってきた場合はどうするのか、と現場から聞かれまして」
そこから20分、先週とほぼ同じ話をします。結論も、だいたい先週と同じところに落ち着きます。
決め直しているのではなく、思い出している
この20分で起きているのは、新しい判断ではないことが多いです。
先週の会議でも、繁忙期の話は出ていました。そのうえで「繁忙期でも当番は回す。そのかわり、その週は当番の人の締め切りを1日延ばす」と決めていました。
ところが、議事録に残っていたのは1行だけです。
問い合わせの一次対応:来月から当番制とする
何を決めたかは残っていても、何を考えたうえで決めたかが残っていません。
現場から質問が来たとき、手元の1行では答えられません。答えられないので、会議に戻します。会議では、先週の議論を記憶から組み立て直します。それが20分です。
「なぜ」が無い決定は、反対意見に弱い

もう1つ、困ることがあります。
決めた理由が残っていないと、後から出てきた意見に対して、その意見が先週すでに検討済みなのか、新しい論点なのか、誰にも分かりません。
検討済みなら「その点は考えたうえで、こう決めました」と返せば済みます。新しい論点なら、そのときこそ会議で話すべきです。
この2つの区別がつかないと、どちらも同じように会議に戻ってきます。結果として、一度決めたことが、異論が出るたびに振り出しに戻るようになります。決めた人も、決めたことに自信が持てなくなっていきます。
決めたことに、2行を足す

やり方はこうです。会議で何かを決めたら、その場で次の3行を書きます。
決めたこと:問い合わせの一次対応を、来月から当番制にする
なぜ:特定の2人に問い合わせが集中し、その2人の本来業務が月末に遅れているため
見直す条件:当番の週に締め切りを延ばす運用で、遅れが2か月続けて出たら
ポイントは2つです。
1つ目は、「なぜ」には、検討して退けた案も入れることです。「専任を置く案も出たが、人を割けないので見送った」と書いてあれば、次に同じ案が出たときに、それが検討済みだと分かります。
2つ目は、「見直す条件」を、その場で決めておくことです。見直す条件が無いと、決めたことは「永久に正しい」か「いつでも蒸し返せる」かのどちらかになります。条件があれば、条件を満たすまでは決めたとおりに動き、満たしたら堂々と見直せます。
3行が書けないとき
会議の終わりに3行を書こうとすると、書けないことがあります。
「なぜ」が書けないときは、実は理由が共有されないまま決まっていることが多いです。声の大きい人の案に、なんとなく落ち着いた。そういうときです。その場で「なぜ、でしたっけ」と1回聞くだけで、決定が固まるか、まだ決まっていないことが分かるか、どちらかになります。
「見直す条件」が書けないときは、何が起きたら失敗なのかを、誰も考えていないということです。これも、その場で気づけるほうが、来月気づくよりずっと安く済みます。
3行は、議事録のためというより、決めたかどうかを、その場で確かめるための道具です。
月曜に、1つだけ
先月の会議で決まったことを、1つ選んでください。
その決定について、「なぜそう決めたか」を議事録や手元のメモから探してみてください。
見つからなければ、決めた場にいた人に聞いて、1行書き足してみてください。次にその話が議題に上がりそうになったとき、その1行が20分を省いてくれるかもしれません。
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