作った本人が異動したら、止まったまま誰も直さない|企業のAI活用7軸⑦横展開・自走

企業でのAI活用

7つの軸の最終回です。そして、いちばん大きな崖がある軸です。

企業のAI活用7つの軸 ⑦ 横展開・自走

見覚えのある光景

  • 動いているが、誰も中身を知らないExcelマクロ
  • 途中で止まったまま、放置されているRPAのロボット
  • 作った人が異動した後、誰も触らなくなった仕組み

AIも、いま同じ場所に向かっています。

この30年、カイゼン・BPR・RPAと繰り返してきて、止まり方はずっと同じでした。道具は毎回違うのに、残るものは同じです。

「自分ができる」と「人に渡せる」は、別の能力です

これが、7軸すべてに共通する崖でした。この軸では、それが最も大きく出ます。

理由は、ここだけが他人の行動を変えることを含むからです。

何が要るか
自分ができる 自分が理解していればよい
人に渡せる 相手が、自分の頭で動けるようにする

⚠️ 後者は、前者の延長ではありません。説明が上手いかどうかでもありません。

引き継ぎ書の厚さではありません

渡すとなると、まず分厚い手順書が作られます。

⚠️ これは、あまり効きませんでした。理由は単純で、手順書は「予定どおりのとき」しか役に立たないからです。

引き継いだ人が本当に困るのは、予定どおりでないときです。

  • 数字が明らかにおかしい
  • エラーが出た
  • 例外的な依頼が来た

このとき手順書には何も書いてありません。そして、そこで止まります。止まったまま、誰も直しません。直していいのか分からないからです。

必要なのは、1行です

止まったとき、誰が判断するか

これが書いてあると、引き継いだ人は止まりません。自分で判断しなくてよいと分かるからです。

⚠️ 「私に聞いてください」でも構いません。書いてあることに意味があります。書いていないと、引き継いだ人は「聞いていいのかどうか」から悩みます。そして、たいてい聞きません。

分厚い手順書より、この1行の方が効きます。

いま、どの段階にいるか

段階 この軸では
0 無い 渡すことを考えていない
1 知っている 属人化が問題だとは分かっている
2 できる(支援あり) 手順書を書けば渡せる。運用は自分が見る
3 できる(自力) 自分の担当は渡せる。他人のものは無理
4 人に渡せる 作った人がいなくても、止まらず回る

3と4のあいだに、7軸でいちばん大きな崖があります。

見分け方は1つだけです。

その人が2週間いなくなっても、動き続けるか

これは、想像では判定できません。実際に休むと分かります。

最初の一歩

いま動いているものについて、止まったとき誰が判断するかを1行で書いてください。

対象は、AIでもRPAでもExcelでも構いません。いま社内で動いていて、特定の誰かが面倒を見ているものです。

書けなかったら、それはあなたが判断しているということです。⚠️ 悪いことではありません。ただ、その1行が無いまま、あなたが異動したら止まります。


7つの軸を、通して見ると

7回にわたって書いてきました。改めて並べます。

一人でできるか
土台 ① 共通言語 ② 業務の言語化 ③ 改善の型
技術 ④ ツールの技術
外側 ⑤ 推進体制 ⑥ ガバナンス ⑦ 横展開・自走

研修で伸びるのは④だけです。だから④だけが伸び、他の6本が置き去りになります。そして「AI活用が進んでいるはずなのに、会社は何も変わらない」という状態になります。

⚠️ どの軸も、飛ばせません。⑦だけを頑張っても、①が無ければ言葉が通じず、②が無ければ何を渡すかも決まりません。1本欠けたところで止まります。

自社がいまどこにいるのか。7本それぞれで、0〜4のどこかを付けてみてください。いちばん低い1本が、次に手を付ける場所です。


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