7つの軸を全部見終えたあと、いちばん多い質問がこれです。
「うちは、どこから手を付ければいいですか」
答えは決まっています。いちばん低い1本からです。ただ、その前に知っておいた方がいいことがあります。段階には、他と比べものにならない大きな崖が1つあるということです。
5段階のうち、崖は1か所だけ
どの軸も、0から4の5段階で見ます。
| 段階 | 状態 | |
|---|---|---|
| 0 | 無い | 話題にも上がっていない |
| 1 | 知っている | 聞いたことがある。まだ使えない |
| 2 | できる(支援あり) | 伴走すればできる。一人だと止まる |
| 3 | できる(自力) | 一人でできる。ただし自分の範囲だけ |
| 4 | 人に渡せる | 他人に教えられる。仕組みとして回る |
0から3までは、階段です。研修を受け、手を動かし、詰まったら聞く。順番に上がります。
3から4だけが、階段ではありません。
「できる」と「渡せる」は別の能力

段階3の人は、自分の仕事を速くできます。プロンプトも書けるし、詰まっても自力で調べます。社内では「AIに詳しい人」と呼ばれています。
その人が10人いても、会社としては何も変わりません。
10人がそれぞれ自分の机の上で速くなっただけだからです。隣の部署は同じ作業を手でやっていますし、その10人が異動すれば元に戻ります。
段階4が1人いる方が、会社は進みます。その1人は、自分が抜けても回る形にできるからです。
なぜ3で止まるのか
段階3までは、一人で上がれるからです。
研修も、本も、社内の勉強会も、全部「自分ができるようになる」ための道具です。だから3までは自然に上がります。
4に上がるには、渡す相手が要ります。教えて、やらせて、詰まったところを直して、自分がいなくても回るか確かめる。相手の時間を使うので、一人では絶対に到達できません。
ここに気づかないまま「研修を増やそう」とすると、段階3の人が増えるだけで終わります。
見分け方は、休んだ日に分かります

自社がどちらか知りたいときは、その人が休んだ日を見てください。
- その日だけ手作業に戻る → 段階3
- その日も同じように回る → 段階4
引き継ぎ書の厚さでも、マニュアルの有無でもありません。止まるかどうかです。
最初の一歩
段階3の人が社内にいるなら、その人に1人だけ教える相手を付けてください。全社展開でも、勉強会でもありません。1人です。
そして、教えた人が一度やってみるところまで見てください。渡したつもりで渡っていないことが、ここで分かります。
⚠️ このとき、段階3の人の工数を減らしてください。教える時間は、必ずどこかから持ってきています。持ってこないと、教える側が「自分でやった方が速い」に戻ります。
次回
次は、「いちばん低い軸から手を付ける」という話です。得意な軸を伸ばしたくなりますが、それでは進みません。理由は構造にあります。
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