Copilot in Excel は、完成形を2行だけ渡す|残りの行を式で埋めさせる頼み方

企業でのAI活用

「取引先ごとの件数と合計を出したい。でも、どの関数を使えばいいかを考えるのが手間」

Excel の Copilot に頼む前に、やっておくことが1つあります。完成形の表を、2行だけ手で作ることです。

(この記事の表は、架空の会社の発注データです。Microsoft 365 Copilot の Excel(ブラウザ版)で試した結果を書いています。画面や返答の文面は、更新で変わることがあります)

何をしてほしいかは、説明するより見せる

「取引先ごとに、件数と、税抜と税込の合計と、期限切れの件数を出して」。言葉で頼むと、列の名前や並べ方、税込の計算のしかたまで、伝えることが多くなります。

そこで、出来上がりの表を先に作ってしまいます。

・「元データ」シート … 発注の一覧(20件・Excel のテーブルにしてあります)
・「完成形」シート   … 取引先11社を縦に並べる。上の2行だけ、手で数字を入れる

手で入れるのは、件数・合計(税抜)・合計(税込)・期限切れの件数の4つを、2社分だけです。式でなく、手で数えた数字で構いません。残りの9社は空けておきます。

頼む文は1行

頼む文は1行

完成形のシートを開いたまま、Copilot にこう頼みます。

上の2行(黄色)と同じ考え方で、残りの行を「元データ」シートから計算する式で埋めて

40秒ほどで、残りの9行に式が入りました。件数は取引先で数える式、合計は取引先で足す式、税込は合計に1.1を掛ける式です。どれも、こちらからは何も説明していません。手で入れた2行から、何を数えているかを読み取っています。

数字ではなく式で入るのも、この頼み方の良いところです。どのセルを見て計算したのかを、後から自分で追えます。

基準日は、データのどこにも無い

1つだけ、当たらなかった列がありました。期限切れの件数です。

期限切れをいつの時点で判定するかは、手で入れた2行の数字の中にしか無く、データのどこにも書いていません。Copilot は「今日の日付より前」で数える式を入れてきました。手で数えたときの基準日とは違うので、試した日は、埋まった9社のうち4社で数がずれました。

困るのは、ずれたことそのものより、Copilot がそれに触れずに埋めたことです。表の形は整っているので、数字だけを眺めていても気づけません。

約束事は、1行のメモで渡す

埋まった9行を消してから、表の横の空いたセルに1行だけ書き足します。

期限切れの基準日 = 2026/09/15(期限がこの日より前なら期限切れ)

同じ会話のまま、同じ文でもう一度頼みました。Copilot は「注記どおり 2026/09/15 より前」と返し、メモの日付を使った式で9行を埋めました。元データから別に数えた答えと、9行とも一致しています。前の回答の「今日の日付」は引きずりませんでした。

2行の完成形で伝わるのは、「何を数えるか」までです。基準日、締め日、対象に含めない条件といった、データに書いていない約束事は、別に書いて渡す必要があります。

埋まった式を、黄色の行に当ててみる

埋まった式を、黄色の行に当ててみる

結果を確かめる方法として、使いやすいものがあります。Copilot が入れた式を、手で数字を入れた黄色の行にも入れてみることです。

式を取ったのと同じ列の黄色のセルに、同じ形の式を入れます。コピーして貼るなら、右クリックの貼り付けのオプションで「数式」を選ぶと、黄色のまま確かめられます。

手で入れた数字と同じになれば、その式は自分の考え方と合っています。違えば、どこかに食い違いがあります。先ほどの「今日」で数える式を入れたときは、手で入れた「1」が、試した日は「2」に変わりました。メモの日付を使う式なら「1」のままです。確かめたら Ctrl+Z で戻します。

全部を数え直すのは大変です。まず黄色の行で確かめ、そのうえで2〜3社を元データで数え直します。

同じブックに置かないもの

試している途中で、もう1つ分かったことがあります。答え合わせのつもりで、正解を入れたシートを非表示にして同じブックに入れておいたところ、Copilot は『全9行が「正解」と一致しました』と返してきました。隠したシートを参照していたことになります。

非表示にしても読まれることがあるので、答え、個人の情報、見せたくない数字は、頼む前に別のファイルへ移しておきます。

今日、1つだけやる

毎月作っている集計表を1つ選び、上の2行だけ手で埋めてみてください。

「同じ考え方で残りを埋めて」と頼むのは、その次の一歩です。


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