AIに集計を頼んだら、合計が合いませんでした|数字を出させるのではなく、出し方を書かせる

企業でのAI活用

「AIに集計してもらった数字を、そのまま会議資料に載せてしまいました」

(この記事に出てくる表や場面は、説明のための例です)

月次の経費一覧、問い合わせの件数表、案件ごとの工数。数百行の表をAIに貼り付けて、「部署ごとに合計して」と頼む。返ってきた結果は表の形に整っていて、桁もそれらしく見えます。

ところが後になって、ある部署の合計が元の表と合わないことに気づく。どの行を数え落としたのか、どこを二重に足したのか、返ってきた数字からは分かりません。

AIは計算が苦手だ、で片付けることもできます。ただ、もう1つの見方があります。確かめようのない形で答えを受け取っていたということです。

数字だけが返ってくると、どこで違ったか追えない

人に集計を頼むときは、途中が見えていることが多いものです。どのシートのどの列を足したのか、聞けば教えてもらえます。

AIに「合計を出して」と頼むと、返ってくるのは結果の数字だけになりがちです。

・どの行を対象にしたか        → 見えない
・空欄や「-」をどう扱ったか    → 見えない
・部署名の表記ゆれをどうしたか → 見えない

表が大きくなると、行の数え落としや読み違いが起きる場合があります。それ自体より困るのは、合わなかったときに、どこを直せばよいか分からないことです。

答えではなく、出し方を書かせる

答えではなく、出し方を書かせる

頼み方を少し変えます。数字そのものではなく、計算のしかたを出してもらいます。

いつもの頼み方 出し方を書かせる頼み方(例)
部署ごとに合計して この表を部署ごとに合計するExcelの式を書いてください。列の位置は○○です
先月と比べて増えた項目を教えて 先月と今月を比べて、増えた項目に印を付ける手順を書いてください
件数を数えて 条件に合う件数を数える式と、その条件の書き方を示してください

文面は例です。使っている表計算の道具に合わせて入れ替えてください。

式や手順が返ってくれば、計算は手元の表計算ソフトがやります。式が間違っていれば、式を見て直せます。結果が合わないときに、疑う場所が、式という見える形に絞られるのが、この頼み方の利点です。

扱いに迷う行を、先に挙げてもらう

扱いに迷う行を、先に挙げてもらう

もう1つ足しておくと役に立つのが、次の一文です。

集計する前に、扱いに迷いそうな行(空欄、表記ゆれ、重複に見えるもの)を挙げてください

合計が合わない原因には、計算だけでなく、元の表の側にあるものもあります。「営業部」と「営業 部」が別の部署として数えられている、同じ申請が2回入っている、金額の欄に「未定」と書かれている。こうした行をどう扱うかは、表を作った側が決めることです。

AIが挙げたものが全部当たっているとは限りません。それでも、決めておくべきことの候補が先に手に入ります。

最後に、1つの合計だけ手で確かめる

式で出した結果を使う前に、どれか1つの部署だけ、元の表から自分で合計してみます。

全部を検算する必要はありません。1か所が合えば、その部署については式が合っていると分かります。余裕があれば、全部署の合計が元の表の総合計と一致するかも見てください。合わなければ、そこから式を見直します。

今日、1つだけやる

次にAIへ集計を頼むとき、「合計して」ではなく、こう頼んでみてください。

「この集計をするための式を書いてください」

返ってきた式を表に貼って、結果を1か所だけ手で確かめる。それだけで、会議資料に載せる数字の出どころを、自分で説明できるようになります。


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