「AIに頼む前の説明を書くだけで、5分かかっています」
(この記事に出てくる文面や場面は、説明のための例です)
社内向けのお知らせ、顧客への回答案、会議資料のたたき台。AIに頼むたびに、最初に同じことを書いています。自分の部署が何をしているか。読むのは誰か。社内ではこの言葉をこう呼ぶ。この表現は使わない。
説明を省くと、返ってくる答えがずれます。一般論になったり、社外向けの硬い文章になったり、社内では使わない言葉が混ざったりする。結局、説明を足してもう一度頼むことになります。
毎回のことなので、だんだん面倒になります。「AIは説明が手間で、思ったほど楽にならない」という感想に行き着きがちです。
毎回の説明は、頼みごとではなく前提
打ち直している説明を並べてみると、2種類が混ざっています。
・今回だけのこと → 何を作ってほしいか、締め切り、今回の読み手
・毎回同じこと → 部署の仕事、社内の呼び方、使わない表現、文体
手間になっているのは、2つ目です。こちらは頼むたびに変わりません。変わらないものを毎回ゼロから書いているので、時間がかかり、しかも書くたびに少しずつ言い方が変わります。
言い方が変わると、AIの答えも変わります。ある日は「です・ます」で書いてくれたのに、別の日は「だ・である」になる。説明の書き方が違っていただけ、ということがよくあります。
前提を1枚のメモにする

毎回同じ部分だけを抜き出して、1枚のメモにまとめます。長くする必要はありません。
【前提】
・私は○○部で、△△の取りまとめをしています
・読み手は主に社内の他部署の担当者です。AIや専門用語には詳しくありません
・社内では「□□」を「◇◇」と呼びます
・「ご査収ください」「させていただきます」の多用は避けてください
・文体は「です・ます」。1文は短めにしてください
項目は例です。自分の仕事に合わせて入れ替えてください。
使うときは、このメモを最初に貼り、その下に今回の頼みごとを書きます。
(前提メモを貼る)
【今回の依頼】
来週の部内説明会の案内文を作ってください。日時は○日○時、場所は○○会議室です
前提を毎回書き直さなくてよくなるので、頼む側は「今回だけのこと」を考えることに集中できます。
メモは、ずれたときに1行ずつ足す
最初から完璧なメモを作ろうとしなくて大丈夫です。むしろ、最初は3行くらいで始めるほうが続きます。
育て方は1つです。AIの答えがずれて、説明を足して頼み直したら、その説明をメモに1行足す。
たとえば、返ってきた文章に「エンゲージメント」という言葉が入っていて、「社内では使わない言葉なので言い換えて」と頼み直したとします。そのとき、メモに「『エンゲージメント』は使わない」と書き足しておく。次からは、最初の1回で避けてもらえます。
こうして足していくと、メモは自分の部署の「言わなくても分かってほしいこと」の一覧になっていきます。
貼る場所を決めておく

メモが手元にあっても、探すのに手間がかかると使わなくなります。置き場所を1つに決めておきます。
・パソコンのメモ帳に保存して、デスクトップに置く
・よく使う定型文として登録しておく
・使っているAIに、毎回の前提を登録できる機能があれば、そこに入れる
3つ目は、サービスによって名前や有無が違います。社内で使っているAIに同じような機能があるかは、一度確かめてみる価値があります。登録できれば、貼る手間もなくなります。
部署で1枚にすると、答えがそろう
このメモは、個人で使うだけでも効果があります。ただ、同じ部署の人たちで1枚を共有すると、もう1つ良いことがあります。
人によって前提の書き方が違うと、同じ種類の文書でも、AIの出す文体や言葉づかいがばらばらになります。前提を1枚にそろえておくと、誰が頼んでも似た調子の文章が返ってくるので、読む側も直す側も楽になります。
共有するときは、足していく人を1人決めておくと、メモが散らかりにくくなります。
今日、1つだけやる
次にAIに何かを頼んだら、送る前に、説明の部分を見直してみてください。そのうち、次に頼むときにも同じことを書きそうな行だけをコピーして、メモ帳に貼っておきます。
それが前提メモの1行目です。次からは、そこから貼り始めてください。
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