AIの要約が、いちばん大事なところを落としていました|頼むときに「読んだあと何を決めるか」を書く

企業でのAI活用

「AIに要約してもらったので、それを読んで判断しました」

(この記事に出てくる資料や場面は、説明のための例です)

取引先からの長い契約書の修正案、30ページの調査報告、1時間分の会議の文字起こし。全部を読む時間がないので、AIに要約させる。出てきた要約は短く、読みやすく、それらしくまとまっています。

ところが後になって、元の資料に「この条件は来年度から変わる」という一文があったことに気づく。要約には入っていませんでした。判断はもう済んでいます。

AIが間違えたように見えますが、別の見方もできます。何のための要約かを、AIは知らされていなかったのかもしれません。

要約は、目的によって残す場所が変わる

同じ資料でも、誰が何のために読むかで、残すべき一文は変わります。

・契約を結ぶか決める人   → 金額・期限・解約の条件
・作業を引き継ぐ人       → 誰が何をいつまでにやるか
・上司に報告する人       → 結論と、まだ決まっていないこと

目的を書かずに「要約して」とだけ頼むと、AIは資料全体の中で分量の多いところ、くり返し出てくるところを中心にまとめがちです。判断を左右する一文が、資料の端に1回だけ出てくる場合、そこは落ちやすくなります。

頼むときに、1行足す

頼むときに、1行足す

要約を頼むときに、読んだあと自分が何を決めるのかを書き添えます。

いつもの頼み方 1行足した頼み方(例)
この資料を要約して この資料を読んで、契約を更新するか決めます。判断に関わる条件を、漏らさず挙げてください
会議の内容をまとめて この会議のあと、宿題の担当を決めます。誰が何をいつまでにやると話したかを並べてください
報告書を短くして 部長に5分で報告します。結論と、まだ決まっていないことを分けて書いてください

文面は例です。自分の業務に合わせて入れ替えてください。

ポイントは、「短く」「分かりやすく」といった形の指示ではなく、読んだあとの行動を書くことです。行動が分かれば、何を残すかの基準ができます。

「書かれていなかったこと」も聞いておく

「書かれていなかったこと」も聞いておく

もう1つ足しておくと役に立つのが、次の一文です。

判断に必要そうなのに、資料に書かれていないことがあれば挙げてください

要約は、書かれていることを縮める作業です。判断で困るのは、書かれていないことのほうが多い場合もあります。期限が書かれていない、費用の負担先が書かれていない、といった抜けは、要約だけを読んでいると気づきにくくなります。

AIが挙げたものが的外れなこともあります。それでも、自分で確かめる場所の候補が手に入ります。

最後に、元の資料を1か所だけ見る

要約で判断するなら、元の資料のうち、判断にいちばん効く箇所を1か所だけ自分の目で確かめます。金額なら金額の欄、期限なら期限の欄です。

全部を読み直す必要はありません。要約を信じてよいかどうかを、1か所で確かめる、という使い方です。そこが要約と食い違っていたら、ほかの箇所も疑ってかかれます。

今日、1つだけやる

次にAIへ要約を頼むとき、依頼文の最初に1行だけ足してください。

「この資料を読んだあと、私は○○を決めます」

○○に入るのは、更新するか、誰に任せるか、上に上げるか、といった自分の次の行動です。それだけで、要約に残る中身が、自分の判断に近づきます。


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