「調べましたが、ありませんでした」と言われたら

業務改善の現場から

「先方から資料はもらっていません」

「そのフォーマットは社内にありません」

この報告を、そのまま受け取っていませんか。

「無い」と「見つけられなかった」は別のもの

私は先月、既にあるものを、無いと思ってもう一度作りました。1日に2回です。

顧客向けの資料を新しく組み立てて、あとから同じ内容の版が3本すでにあったことに気づきました。同じ日の午後、業務フローも作り始めて、既に10本あり、うち2本が今回必要なものでした。

どちらも、探していませんでした。「たぶん無いだろう」で着手していました。

二重に作ると、作った時間が無駄になるだけではありません。どちらが正本か分からなくなります。次に開いた人は、古いほうを見て仕事を進めます。

報告に「探した範囲」を書かせる

報告に「探した範囲」を書かせる

対策は1つだけです。「無い」と書くときは、どこを探したかを一緒に書く。

❌ 自動化のツールは社内にありません
⭕ 情シスの共有フォルダと申請システムを見た範囲では、ありません(各部の個別フォルダは未確認)

範囲を書けないなら、それは「無い」ではなく「見つけられなかった」です。そう書けばいい。

これは、報告を受ける側のための規則ではありません。書く本人のための規則です。範囲を書こうとした瞬間に、「まだ見ていない場所」に自分で気づけます。

効くのは、作り始める前

効くのは、作り始める前

もう一段あります。「無い」と報告するときだけでなく、「作る」と決めるときにも同じ問いが要ります。

冒頭の私の失敗は、報告の場面ではありませんでした。誰にも何も言わずに、作り始めた場面です。報告のルールだけを整えても、ここは通り抜けます。

新しく何かを作り始める前に、置き場所を1回だけ開く。フォルダを見る、台帳を検索する。それだけで、大半の二重作業は消えます。

丁寧さの話ではありません。戻ってこられなくなるのが害なので、先に1分払う、という損得の話です。

管理職が聞く1問

部下から「ありませんでした」と言われたら、詰問せずに、こう聞きます。

「どこを見ましたか」

すらすら返ってくるなら、その報告は使えます。言葉に詰まるなら、まだ探していません。「探してこい」と突き返す必要はなく、どこを見るべきかを1つ挙げれば、それで終わります。

この1問には、もう1つ効き目があります。繰り返すうちに、部下は聞かれる前に範囲を書いて出すようになります。規則を配るより速く定着します。

まとめ

「ありません」は結論ではなく、探した範囲とセットで初めて結論になります。

報告を受けるときは「どこを見ましたか」。自分が作り始めるときは、置き場所を1回開いてから。

見た範囲が狭いこと自体は、問題ではありません。狭い範囲で見たことを、全体の結論として扱ってしまうことが問題です。


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