朝、メールを開くと「急ぎでお願いします」が2通あります。昼前に、通りがかった別の上司からもう1つ頼まれます。
担当者は、3つを見比べて、どれかから手をつけます。夕方、後回しにされた依頼の主から「まだですか」と聞かれます。
順番を決めたのは、3人の依頼者の誰でもなく、目の前で受けた担当者でした。
担当者の手元には、順番を決める材料が少ない
3つの依頼が重なったとき、担当者が順番を決めること自体は自然です。目の前にあるのは本人なので。
ただ、担当者が持っている情報は、たいてい依頼文に書いてあることだけです。
- その資料が、どの会議で使われるのか
- 遅れたら、誰が何に困るのか
- 依頼者同士で、どちらを優先すると話がついているのか
こうした判断の材料は、依頼した側か、その上にあることが多いものです。材料を持っていない人に順番を決めさせると、結果として「声の大きい人」「近くにいる人」「最後に念を押した人」の順になりがちです。
そして外れたときに謝るのは、順番を決めた担当者です。
「急ぎ」は、2つに分けられる

重なった依頼を並べて、1つずつ「なぜ急ぎなのか」を聞いてみると、大きく2つに分けて考えられます。
| 中身 | 例 | |
|---|---|---|
| 日付が外で決まっている | 動かせない期日が、依頼者の外にある | 取引先への提出日・役員会の資料締切・法定の届出 |
| 早く欲しいだけ | 早いと助かるが、1日ずれても、困る人が出にくい | 「手が空いたら見たい」「念のため先に」 |
どちらも、依頼文では同じ「急ぎでお願いします」になります。書いた本人も、区別せずに書いていることが多いので、依頼文を読むだけでは分かりません。
2つ目が悪いわけではありません。ただ、1つ目と2つ目が同じ札を付けて並ぶと、担当者には区別がつきません。区別がつかないまま全部に急ぐと、本当に動かせない1つ目が押し出されることがあります。
先に決めておくのは、「ぶつかったら誰に聞くか」

ここで、全部の依頼に優先度の欄を付けよう、という話になりがちです。高・中・低を選ばせる、あれです。
優先度の欄を付けても、依頼者が自分の依頼に「高」を付ければ、ぶつかったときの決め手にはなりません。
決めておくのは、ぶつかったときに順番を決める人です。担当者の直属の上司が担うのが、形として自然です。直属の上司が依頼者の1人のときや不在のときは、その上の上司か、部署で決めた代わりの人に聞きます。
担当者には、次の1行だけを渡しておきます。
急ぎが2つ以上重なったら、自分で決めずに、上司に「どちらを先にしますか」と聞く。
上司は、それぞれの依頼者に1つだけ聞きます。
これは、何日の何に使いますか。その日付は動かせますか。
たとえば「金曜の取引先との打ち合わせで配ります。日程はもう先方と決まっています」と返ってくれば、期日は依頼者の外にあります。1つ目の急ぎです。「できれば早めに見たいだけです」や「日付は特に決まっていません」なら、2つ目です。
もう1人の依頼者にも同じことを聞きます。答えがそろったら、外の期日があるほうを先にします。2つ目どうしなら、来た順で構いません。1つ目どうしが重なったときは、来た順にせず、上司が依頼者の間に入って、どちらかの日付を動かせないかを確かめます。
聞くのは1問か2問で、時間は数分です。担当者は「どちらが大事か」を推し量らずに済みます。
順番を決めたのが上司であれば、後回しになった依頼者への説明も上司がします。担当者が板挟みになる場面が、1つ減ります。
聞かれた上司が困るとき
この1行を渡すと、最初の数週間は上司のところに質問が集まることがあります。
それ自体が、1つの答えです。頻繁に聞かれるなら、その部署には「急ぎ」が重なる構造があるということです。同じ依頼者から毎回来ているなら、その依頼者との間で「この種類は週の何曜日まで」と先に決めておけば、重なる回数そのものを減らせます。
反対に、ほとんど聞かれないなら、担当者が上司に聞きにくい空気がないかを確かめてください。重なりが無いのか、聞かずに抱えているのかは、表からは見分けがつきません。
月曜に、1つだけ
部下に1行だけ伝えてください。
「急ぎが2つ重なったら、どちらからやるかは自分で決めなくていい。私に聞いて」
聞かれたら、そのときは上の2つの質問が使えます。
業務のAI化、どこから始めるか迷ったら
業務ドックが、御社の業務を1件ずつ診てAI化・標準化の優先順位を設計します。まずは無料相談、または業務AI化の無料診断からどうぞ。



コメント