毎月の第2営業日です。担当者は朝から集計表を作っています。
前月の件数を拾い、表に貼り、グラフを更新して、決まった宛先にメールで送ります。半日かかります。
送ったあと、返信はありません。先月も、その前の月もありませんでした。
始めたのは3年前です。当時の部長に頼まれました。その部長は、もう別の部署にいます。
続いているのは、やめる理由が無いから
この資料が続いている理由を聞くと、たいてい次のような答えになります。
- 前から作っているので
- 誰かが見ているかもしれないので
- やめて何か言われたら困るので
どれも、この資料が役に立っているという理由ではありません。やめる理由が見つからないので続いている、という形です。
作る側から見ると、やめるのには勇気が要ります。「誰も読んでいないと思うのでやめます」と言うのは、3年分の仕事を自分で否定するように感じる人もいます。宛先に上司の名前が入っていれば、なおさらです。
受け取る側から見ると、事情はもっと単純なことがあります。届いていることは知っているが、開いていない。開かないので、要らないとも言いません。言わないので、翌月も届きます。
「要りますか」と聞いても、答えは「念のため」

続けるかどうかを確かめようとして、宛先に聞くことがあります。
「この資料、まだ要りますか」
返ってくる答えは、多くの場合こうです。
念のため、送っておいてください
聞かれた側にとって、「要らない」と答えるのは小さな危険です。あとで必要になったら、自分が止めたことになります。「念のため」と答えれば、その危険は無くなります。手間を払うのは作る側なので、受け取る側には断る理由がありません。
こうして、聞いた結果、続けることが決まります。聞く前と何も変わりません。
止めてみて、困る人がいるかを見る

聞いても分からないなら、1か月だけ送るのを止めて、誰かが気づくかを見ます。
やり方はこうです。
1. 上司に「来月1回だけ、この資料の送付を止めます」と伝え、了承をもらう
2. 資料そのものは作らずに、元になるデータの置き場所だけ残しておく
3. 1か月のあいだに「あの資料はどうなった?」と聞いてきた人を書き留める
ポイントは2つです。
1つ目は、上司の了承を先にもらうことです。担当者が独断で止めると、聞かれたときに担当者だけが説明することになります。上司が知っていれば、「試しに止めている」と一言で済みます。
2つ目は、データの置き場所は残しておくことです。誰かが困ったら、その日のうちに作って送れます。戻せると分かっていれば、止める判断は軽くなります。
1か月たって、聞いてきた人がいたら
1か月のあいだに誰も聞いてこなければ、その資料は止めてよいことが多いように思います。上司に報告して、正式にやめます。
聞いてきた人がいたら、その人に1つだけ確かめます。
「この資料のうち、どの数字を使っていますか」
答えが「この1行だけ」ということがよくあります。その場合、作る資料は表1枚から数字1つに縮みます。半日かかっていた作業が、10分で済むかもしれません。
全部が要ると言われたら、続けます。そのときは、誰が何に使っているかを、資料の冒頭に1行書いておきます。次に担当が替わったとき、その人が同じ迷いを持たずに済みます。
月曜に、1つだけ
自分のチームで、毎月か毎週、決まって送っている資料を1つ選んでください。
その資料について、宛先の誰が、何の判断に使っているかを、1行で書けるか試してみてください。
書けなければ、来月の1回だけ、止めてみることを上司に相談してください。
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