AIの利用を広げるために、プロンプト集を作る会社が多いです。
「議事録を要約する」「メールの返信を下書きする」「企画書の骨子を作る」。よく使いそうな用途を30個ほど集め、社内ポータルに置きます。
最初の週は開かれます。翌月には、ほとんど開かれていません。
文面を磨いても、使われるようにはならない
使われないと、たいてい文面の改善に向かいます。言い回しを変える、例を足す、カテゴリを分ける。
それでも戻ってきません。原因が文面の側に無いからです。
プロンプトを使う場面を順に書くと、どこで止まるかが見えます。
1. プロンプト集を開く
2. 使えそうな1つを選ぶ
3. 文面をコピーする
4. 中に入れる材料をそろえる ← ここで止まる
5. AIに貼って実行する
6. 出てきたものを確かめる
「議事録を要約してください。以下が議事録です」の「以下」に入れるものが、手元に無いのです。録音はあるが文字になっていない。メモは3人がばらばらに取っている。材料をそろえる作業のほうが、AIに頼む作業より重い。
材料が手元にある業務から選ぶ

プロンプト集の30個は、「AIが得意そうなこと」から選ばれています。選ぶ基準を変えます。
| 材料がそろっている | 材料を集める手間がある | |
|---|---|---|
| 毎週ある | ここから載せる | 材料の置き場所を先に決める |
| たまにある | 載せてもよい | 載せない |
左上に入るのは、たとえば次のようなものです。
・毎週の数字を、決まった表から報告文にする
・問い合わせメールに、過去の回答例をもとに返信案を作る
・申請書の記入漏れを、記入例と見比べて指摘する
どれも、材料(表・過去の回答・記入例)がすでに1か所にあります。開いてすぐ使えるので、2回目が来ます。
1件ごとに「どこから何を持ってくるか」を書く

載せ方も変えます。文面だけでなく、材料の場所を一緒に書きます。
✕ 以下の問い合わせに対する返信案を作ってください。
[問い合わせ本文]
◯ 用途: 経費精算の問い合わせへの返信案
材料1: 問い合わせメールの本文(そのまま貼る)
材料2: 共有フォルダ「経費FAQ」の該当する回答(1〜2件)
文面: 材料2の回答をもとに、材料1への返信案を作ってください。
材料2に無いことは「確認します」と書いてください。
確かめ方: 金額と締め日だけ、材料2と見比べる
材料の場所が書いてあると、初めての人でも同じ手順で使えます。確かめ方まで書いてあると、出てきたものをどこまで信じてよいかで迷いません。
数を減らす
30個あると、選ぶところで時間がかかります。しかも大半は、材料がそろわず一度も使われません。
最初は3個で足ります。
・部署の人が毎週やっていて
・材料が1か所にそろっていて
・結果を見比べて確かめられるもの
この3条件に当てはまるものだけを載せます。使われたかどうかは、1か月後に本人に聞けば分かります。使われたものの隣に、次の1個を足していきます。
今日、1つだけやる
配ったプロンプト集を開いて、上から5個について「材料はどこにあるか」を1行ずつ書いてみてください。
すぐ書けるものが残す候補です。書けないものは、プロンプトの出来ではなく、材料の置き場所がまだ決まっていない業務です。そちらはプロンプト集ではなく、業務の側で片づける話になります。
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