業務の棚卸しで「1回何分」は集まったのに、効果が計算できません|空欄になっていたのは「月に何回」の列でした

企業でのAI活用

AI化の効果を経営に説明するために、業務の棚卸しをしたとします。

(この記事に出てくる表や場面は、説明のための例です)

各部署に表を配り、業務ごとに「1回にかかる時間」を書いてもらいます。回収してみると、時間の欄はほとんど埋まっています。

ところが、合計を出そうとして手が止まります。「月に何回」の欄が、あちこち空欄です。

時間だけでは、合計が出ない

効果の試算は、かけ算でできています。

月の時間 = 1回の時間 × 月の回数

1回30分の作業でも、月1回なら30分、毎日なら10時間を超えます。回数が空欄の行は、時間がいくら丁寧に書いてあっても、合計に入れられません。

空欄を「とりあえず月1回」と置いて計算することはできます。ただ、その合計は、仮に置いた数字の上に立っていることになります。

回数は、書く本人にも分からない

回数は、書く本人にも分からない

なぜ回数だけが空くのか。書く人が手を抜いたとは限りません。

1回の時間は、その作業をしている自分を思い浮かべれば答えられます。回数は違います。「先月この作業を何回やったか」は、記憶ではなく記録を見ないと分からないことが多い数字です。

とくに答えにくいのは、次のような作業です。

  • 依頼が来たときだけ発生する
  • 月末や年度末に集中する
  • 自分以外の人と交代でやっている

分からない数字をそれらしく埋めなかった、という意味では、空欄は正直な答えでもあります。

空欄の行を、別に数える

回収した表は、まず次のように分けて数えます。

状態 扱い
時間も回数も書いてある そのまま合計に入れる
回数だけ空欄 回数を聞き直す
時間も書けていない 作業の中身から聞き直す

3つ目は、回数を聞いても埋まりにくい行です。どこからどこまでが「1回」なのかが本人の中で曖昧なので、先にその区切りを決める必要があります。空欄をひとまとめにすると、この違いが見えなくなります。

聞き直すときは、記録を指さす

聞き直すときは、記録を指さす

回数を聞き直すときは、「月に何回くらいですか」と聞かないほうが確かです。「くらい」と聞くと、「くらい」の数字が返ってきやすくなります。

代わりに、回数が残っていそうな場所を一緒に探します。

・申請の件数   → 申請システムの一覧
・問い合わせ   → メールの件名検索
・月末の処理   → 過去12か月のカレンダー

記録が見つからない作業は、「回数不明」のまま残しておくほうが、仮の数字で埋めるより後で説明しやすくなります。

減る量も、同じ表で集める

もう1つ、見落としやすい点があります。

棚卸しの表は、今どれだけかかっているかだけを聞く形になりがちです。効果の試算に要るのは、今の時間と、AIを使ったあとの時間との差です。

今   :1回30分 × 月20回
あと :1回10分 × 月20回

「あと」の欄がなければ、現状の大きさは分かっても、減る量は分かりません。次に表を配るときは、同じ行に「あと」の列を足しておくと、聞き直しの回数を減らせます。

今日、1つだけやる

手元に棚卸しの表があれば、回数の列だけを上から見てください。空欄の数を数えて、合計の横に1行書き添えます。

「合計○時間(回数未記入の○件は含まない)」

この1行があるだけで、「その数字はどこまで確かですか」と聞かれたときの答えが、先に用意できています。


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