「人が足りません」と言われます。
見ていると、たしかに遅くまで残っています。増員を上に掛け合って、半年後に1人来ます。
それでも、残業は減りませんでした。こういう部署を、いくつか見てきました。
「忙しい」は、1種類ではない
人が足りないという言葉は、たいてい嘘ではありません。ただ、忙しさの中身は1つではありません。
1日の時間を、何に使ったかで分けてみると、だいたいこの4つに落ちます。
| 何をしている時間か | 例 | |
|---|---|---|
| 仕事そのもの | 手を動かして、成果物が進んでいる | 資料を作る・データを入れる・客と話す |
| 待ち | 誰かの返事や承認が来るまで止まっている | 上長の承認待ち・他部署の回答待ち |
| 探す | どこにあるか、誰に聞くかを調べている | 前回の版を探す・担当を探す |
| やり直し | 一度出したものを、直して出し直している | 差し戻し・手戻り・作り直し |
人を足して減るのは、1つ目だけです。
残りの3つは、人が増えても減りません。むしろ増えることがあります。待つ相手は変わらず、探す場所は同じで、やり直しの原因はそのまま残るからです。新しい人が来ると、その人が探す時間と、その人に教える時間が上に乗ります。
忙しさの中身を分けずに人を足すと、足した分だけ「教える」と「探す」が増えます。
時間は計らなくていい

中身を分けると言うと、工数の記録を思い浮かべる方が多いと思います。15分単位で何をしたかを書く、あの表です。
あれは続きません。書くこと自体が5つ目の仕事になるからです。
時間ではなく、回数を数えてください。1週間だけで足ります。
今日、返事を待って止まった回数 正
今日、どこにあるか探した回数 正正
今日、出したものを直した回数 正
付箋1枚でできます。何分かかったかは書きません。「止まった」「探した」「直した」と思った瞬間に、1本引くだけです。
1日の終わりに見ると、たいてい1つの列が飛び抜けています。どの列が飛び抜けるかは、部署によって違います。同じ「人が足りない」でも、原因の場所が違うということです。
列ごとに、直す場所が違う

飛び抜けた列によって、やることが変わります。人を足すのは、そのどれとも違う対処です。
「待ち」が多いとき
誰の返事を待って止まったのかを、名前で並べてください。たいてい2人か3人に集まります。待つ相手が決まっているなら、待たなくてよい範囲を決めるほうが早い。金額や種類で線を引いて、その下は本人が進めてよいことにします。承認の回数が減ると、承認する側の時間も戻ってきます。
「探す」が多いとき
何を探したのかを、そのまま書き出します。前回の資料・誰が担当か・最新の版はどれか。探すものは毎回違って見えて、置き場所が決まっていないものは同じ数個に集まります。そこだけ置き場所を1つにします。全部を整理する必要はありません。
「やり直し」が多いとき
誰からの差し戻しかを見ます。同じ人から戻っているなら、その人の「完了の条件」が最初の依頼に入っていません。出してから決めた条件は、次の依頼で先に書く。それだけで往復が1回減ります。
人を足すのが正解のとき
4つのうち、1つ目が大半を占めていたら、それは本当に人が足りません。
このときは、遠慮なく足してください。「待ち・探す・やり直しは少なく、手を動かす時間で埋まっている」という正の字が、そのまま増員の根拠になります。
「忙しいので」だけの稟議は通りにくく、通ったとしても半年かかります。回数の紙が1枚あると、聞かれたときに答えられます。
月曜に、1つだけ
「人が足りません」と言った人に、来週の5日間だけ、3つの列を数えてもらってください。
待った回数、探した回数、直した回数。時間は計らなくていいと、先に伝えます。
金曜の夕方に、その紙を一緒に見てください。飛び抜けた列が、人を足す前に触る場所です。飛び抜けた列が無ければ、人を足す話を、その紙を持って上に持っていってください。
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