ミスが出るたびに、確認を1つ足していませんか

業務改善の現場から

ミスが出ます。原因を調べて、再発防止策を書きます。

いちばん書きやすいのは、この1行です。

「今後は、もう1人が確認してから出します」

足すのは簡単で、外すのは進まない

その場で反対が出にくい対策です。費用もかからず、明日から始められます。

問題は、これが積み重なることです。

3年前のミス  → 出す前に、先輩が見る
去年のミス    → さらに、係長が見る
先月のミス    → さらに、チェック表に記入する

足した理由は記録に残りますが、外す理由は書かれにくいものです。外すきっかけが無いので、確認は積み上がっていきます。

それでミスが減っていれば、問題ありません。

足したのに、同じ種類のミスがまた出た。そのときに疑う場所が2つあります。

2人で見ると、1人あたりは薄くなる

2人で見ると、1人あたりは薄くなる

1つ目は、1回あたりの濃さです。

確認する人が2人いると、こういうことが起きやすくなります。

考えていること
作った人 後ろで見てもらえるから、早く出そう
1人目の確認者 この後にもう1人見るから、ざっとでいい
2人目の確認者 前の人が見ているから、大きな間違いは無いはず

手を抜こうとしているわけではありません。後ろに誰かがいると分かっていると、自分が最後の砦だとは思いにくくなるのです。

確認の回数を足しても、1回あたりの濃さが減れば、合計は増えません。

同じものを、同じ見方で見ている

疑う場所の2つ目は、見方です。

2人目が、1人目と同じ書類を、同じ順番で、上から読んでいないかを見てください。

1人目が見落としたものは、同じ見方をしている2人目にとっても見落としやすいものです。その見方では目に入らないミスは、同じ見方の人を足しても残りやすくなります。

たとえば請求書なら、こうなります(架空の例です)。

1人目  金額・宛名・日付を、上から読んで確かめる
2人目  金額・宛名・日付を、上から読んで確かめる
        → 2人とも「元の見積と合っているか」は見ていない

2人目には、別のものを見せる

確認を2回するなら、2回目は見るものを変えます。

見るもの 拾えるミス
1人目 書類そのもの 誤字・計算・抜け
2人目 元の資料と並べて 転記のずれ・古い版を使った

2人目は、書類を読みません。元の資料と並べて、合っているかだけを見ます。

見るものを分けると、「前の人が見ているはず」が成り立たなくなります。前の人は、そこを見ていないからです。

「確認する」を、何を見るかに書き換える

「確認する」を、何を見るかに書き換える

チェック表に「内容を確認した」という行があったら、そこが薄くなりやすい場所です。

何を見れば確認したことになるのかが書かれていないので、人によって見るものが変わります。それでも、印は毎回そろいます。

✕ 内容を確認した
◯ 合計金額が、見積書の最終版と同じである
◯ 宛名の部署名が、先方の最新のメール署名と同じである

書き換えると、行数は増えます。それでも、何を見ればいいかを毎回考えなくて済むようになります。見る人が替わっても、見るものが変わりません。

足すなら、1つ外す

それでも新しい確認を足したくなったら、先にいまある確認を並べてみてください。

それぞれに、1つだけ聞きます。

「この確認で、最後にミスが見つかったのはいつですか」

思い出せる人がいない確認は、外す候補です。長いあいだ何も拾っていない理由は、3つ考えられます。

・別の仕組みが、もう防いでいる
・見方が合っていなくて、拾えていない
・そのミスが、そもそも起きていない

外す前に、どれなのかを確かめてください。あわせて「何を防ぐために足したのか」も見ます。めったに起きないけれど、起きたら大きい事故のための確認は、拾った回数では測れません。

月曜に、1つだけ

部署でいちばん確認の回数が多い仕事を、1つ選んでください。

1人目と2人目に、別々に「何を見ていますか」と聞きます。

答えが同じなら、2人目の見るものを変えます。並べる元の資料が無い仕事なら、1人目が見ていない項目を1つ決めて、2人目に渡してください。

答えが違うなら、見るものはもう分かれています。誰が何を見ているかを、チェック表に書き足すだけで足ります。

どちらの場合も、人を増やす必要はありません。


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