手順書はあります。棚にも、共有フォルダにもあります。
それでも担当者が休むと、その仕事は止まります。
手順書が使えるかは、書いた人には分からない
書いた本人が読み返すと、たいてい「よく書けている」と感じます。
当然です。書いてある以外のことを、全部知っているからです。
書いた人の頭の中にあって、紙に載っていないものは、読み返しても見えません。抜けているところが、本人にだけ埋まって見えるのです。
手順書の良し悪しは、書いた人以外が読んだときにしか分かりません。
止まる場所は、いつも同じ3つ

引き継いだ人が実際に手を止めるのは、たいていこの3つです。
| 手順書の書き方 | 読んだ人が困ること | |
|---|---|---|
| 場所 | 「所定のフォルダに保存」 | どこか分からない |
| 判断 | 「内容を確認して問題なければ」 | 何が問題なのか分からない |
| 相手 | 「担当者に連絡」 | 誰か分からない |
3つとも、書いた人には自明です。だから書かれません。
自明なことほど抜ける——これが、手順書がいちばん壊れる理由です。
30分で確かめる方法
いちばん確実なのは、その仕事を知らない人に、手順書だけを渡してやってもらうことです。
そのとき、やることが1つだけあります。
横に座って、黙って見ていてください。
・質問されても答えない(「手順書のどこを見ますか」とだけ返す)
・手が止まった時刻と、止まった行を記録する
・最後まで終わらなくてよい。止まった場所が分かれば目的は達成
答えてしまうと、何も測れません。答えた瞬間、その仕事はまた「あなたがいないとできない仕事」に戻ります。
止まった行が、そのまま直す場所
30分見ていると、たいてい3〜5か所で止まります。その行が、直す場所です。
直し方は、抽象的な言葉を実体に置き換えるだけです。たとえば、こう変えます。
「所定のフォルダ」 → \server\共有\経理\月次\2026
「問題なければ」 → 合計欄が前月と1万円以上ずれていないこと
「担当者に連絡」 → 経理課 内線4412(不在なら 4410)
文章をきれいにする必要はありません。手が止まらなくなれば、それで用は足ります。
書き足すより、消すほうが効くことがある

手順書が読まれない理由が、分量であることもあります。
40ページの手順書は、開かれません。開かれないものは、正しくても意味がありません。
月に1回しか使わない仕事の手順書なら、A4で1枚に収まるかを先に見てください。収まらないなら、1枚に収まる部分と、そうでない例外に分けます。
例外は別紙に出す。本体を薄くしたほうが、使われます。
直した後に、もう一度渡す
直したら、別の人にもう一度渡してください。同じ人に渡すと、1回目の記憶で進めてしまうので測れません。
2人目が止まらなければ、その手順書は引き継げる状態になっています。
2回で足ります。完璧を目指すと配れなくなります。
月曜に、1つだけ
部署の中で「この人が休むと止まる仕事」を1つ思い浮かべてください。
その仕事の手順書を開いて、「所定の」「適宜」「問題なければ」「担当者」を検索します。
1つでも見つかったら、そこが止まる場所です。30分、誰かに渡して黙って見ているだけで、直す場所が全部出てきます。
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