生成AIを全社に配って半年。推進担当の月次報告には、こう書かれています。
月に1回以上使った人 80%
前月比 +5ポイント
数字は順調です。ところが、どの部署に聞いても「仕事のやり方は特に変わっていない」と返ってきます。
利用率が数えているもの
利用率は、その月に1回でもAIを開いた人の割合です。
1回開いて、メールの言い回しを1つ直してもらった人も、毎週の報告書をAIで下書きしている人も、同じ「1人」に数えられます。
利用率は「触った人の数」を数えていて、「AIに渡した作業の数」は数えていません。
だから、利用率が80%でも、業務の手順が1つも変わっていないことは普通に起こります。
利用率を目標にすると、何が起きるか

利用率を部署の目標にすると、現場は目標を満たす一番軽い方法を選びます。
- 月初に全員で1回ずつ質問を打ち込む
- 雑談のような質問で「使った」ことにする
誰も悪いことはしていません。目標がそう書かれているので、そう動いただけです。数字は上がり、仕事は変わらず、推進担当だけが「なぜ成果が出ないのか」と説明を求められます。
数える単位を「作業」に変える

人を数えるのをやめて、AIに渡した作業を数えます。
| 利用率 | 置き換わった作業 | |
|---|---|---|
| 数えるもの | 開いた人 | 手順が変わった作業 |
| 1回メールを直した人 | 1人 | 0件 |
| 毎週の報告書をAIで下書き | 1人 | 1件 |
| 上がり方 | 配れば上がる | 業務を見直さないと上がらない |
「置き換わった作業」は、次の3つがそろったものだけを1件と数えます。
1. 毎週(毎月)発生する作業である
2. 手順書や引き継ぎに「AIでこうする」と書ける
3. その人が休んでも、別の人が同じやり方でできる
3つ目が大事です。本人しか知らない使い方は、その人が異動した時点で0件に戻ります。
最初の月は、数が少なくて構いません
作業で数えると、利用率80%だった部署でも、最初は3件や5件になることがあります。
数字が下がったのではなく、これまで見えていなかった実数が見えただけです。3件あれば、その3件を隣の人に渡せるかを試せます。利用率80%からは、次にやることが出てきません。
月曜に、1つだけ
次の月次報告に、1行だけ足してください。
「今月、手順が変わった作業:○件(作業名)」
利用率の行は消さなくて構いません。作業名が1つでも書ければ、その作業が次の横展開の候補になります。書けなければ、利用率80%の中身がそこで分かります。
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