AI推進の担当になりましたが、兼務です|時間を頼む前に、止めてよい仕事の名前を決める

企業でのAI活用

「来月から、AI推進も見てください。いまの仕事と兼務で」

こう言われて担当になったものの、1か月たっても手が付いていないことがあります。

本業の締切は毎週来ます。AI推進には締切がありません。締切のある仕事と無い仕事が同じ机に並ぶと、先に片付くのは締切のあるほうです。

やる気の問題に見えますが、そうとは限りません。兼務の中身が、決まっていないのです。

「空いた時間で」は、割り当てになっていない

兼務を言い渡されるとき、決まっているのは役割の名前だけ、ということがあります。

決まっていること    AI推進の担当である
決まっていないこと  ・週にどれだけ使ってよいか
                    ・その分、いまの仕事の何を止めるか
                    ・最初に何をするのか

決まっていない3つは、「空いた時間でやる」という前提で埋められがちです。本業が減っていなければ、空く時間は、本業が早く終わった日に頼ることになります。その日がいつ来るかは、自分では決められません。

「業務の2割をAI推進に」と割合で決まっている場合も、同じことが起こりえます。本業の量が変わっていなければ、2割は足し算になります。割合を決めても、止める仕事が決まっていなければ、時間が出てこないことがあります。

3つのうち、上司に決めてもらうのは「何を止めるか」です。週にどれだけ使うかは、止める仕事が決まれば一緒に決まります。最初に何をするかは、自分で決めます。

先に決めてもらうのは、止めてよい仕事の名前

先に決めてもらうのは、止めてよい仕事の名前

時間をください、と頼んでも通りにくいのは、頼まれた側が何を決めればよいか分からないからです。頼み方を変えます。

✕ AI推進の時間を、週に半日ください
◯ 毎週木曜の15時から2時間を、AI推進に使います。
   その分、週次の進捗集計を隔週にしてよいですか

下の頼み方には、止める仕事の名前が入っています。上司が決めるのは「その仕事を止めてよいか」の1点です。はい・いいえで答えられます。

止める候補は、自分で先に挙げておきます。挙げやすいのは次のような仕事です。

候補 例
頻度を落とせるもの 毎週の集計を隔週にする
出なくても進むもの 報告を聞くだけの定例を、議事録で読む
ほかの人に渡せるもの 定型の問い合わせ対応を、手順を書いて渡す

3つめは、手順を書く手間が先にかかります。最初の1つは、上の2つから選ぶほうが早く空きます。

「いいえ」と言われることもあります。そのときは、理由を1つ聞いてください。いまの時期だから止められないのか、その仕事自体が止められないのか。どちらかで、次に頼む内容が変わります。期待されている進み方を、その場で上司と合わせ直せます。何も決めないまま進めるより、手前で話ができます。

週に1回、動かさない枠を置く

止める仕事が決まったら、空いた分をカレンダーに置きます。曜日と時間を固定します。

固定する理由は、関係者のためです。AI推進は一人で完結しません。現場の担当者に話を聞き、試してもらい、結果を見ます。枠が毎週同じ場所にあれば、「来週の木曜15時に見てもらえますか」と先の予定を約束できます。空いた時間でやっていると、相手の予定を押さえられません。

枠は長くなくて構いません。大事なのは、本業の締切が来ても動かさないことです。動かす日が続くようなら、止める仕事の決め方に戻ります。

その枠でやることは、1業務だけにする

その枠でやることは、1業務だけにする

時間が取れても、やることが広いと進みにくくなります。限られた枠では、調査や計画書づくりよりも、業務を1つ決めて、最後まで通すほうが進めやすいことがあります。

枠の使い方 1か月後に残るもの
ツールの情報を集める 比較表
全社の活用計画を書く 計画書
1つの業務で、担当者と一緒に通す AIを使う形で回っている業務が1つ

上の2つが要らない、という話ではありません。ただ、限られた枠で先に作りたいのは3つめです。回っている業務が1つあると、次に時間を頼むときの材料になります。「この業務が回りました。次はこの業務に広げたいので、枠を増やしたいです」と言えます。

業務を選びかねるときは、毎週同じ形で繰り返している作業から選びます。回数が多いほうが、枠の中で試せる回数も増えます。

1か月後に、上司と見るもの

兼務の成果を「どれだけ時間を使ったか」で報告すると、話が時間の取り合いに戻ります。見るものを先に決めておきます。

・決めた1業務が、AIを使う形で回っているか
・止めた仕事で、困った人が出ていないか
・次に通したい業務が、名前つきで出てきているか

2つめを入れておくのは、止めた仕事の側を放っておかないためです。困った人が出ていれば、頻度を戻すか、渡し方を直します。出ていなければ、その仕事は止めたままでよかった、ということになります。

今日、1つだけやる

今週の予定を開いて、自分の仕事を上から順に見てください。

頻度を落とせるものか、出なくても進むものを、1つだけ選びます。

選んだら、上司に聞く文を1行で書きます。

毎週木曜の15時から2時間を、AI推進に使います。
その分、週次の進捗集計を隔週にしてよいですか

曜日と時間、止める仕事の名前を、自分のものに入れ替えてください。

1つも選べないときは、今週いちばん時間を取られた会議を1つ書き出してください。その会議が、出なくても進むかどうかを見るところから始めます。


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